NEXT DAY







覚醒するんだな、と意識が捉える中で
いつもと違う感覚に、ああまだ夢の中なんだな、と頭のどこかで思う
ふわふわとした感触が初めてで、いつもの堅い地面と違って
なんて気持ちがいいのだろう
更に視界の端に金色の何かを感じて、悟空は嬉しくなる
どうやら、久し振りにとってもいい夢を見ているようだと

―――・・・?

気のせいだろうか
ひとの声らしきものまで聞こえた気がする
そんなことはありえない筈なのに
誰も、ここに来るはずがない、来ないのだから

心地良い気分にもっと浸っていたくて
目覚めつつある意識を引き戻そうとする、夢の中の空間へと。
まだ目を覚ましたくはないから・・・


・・・っ!!! え・・・?


突然感じた鈍痛に、目が覚めるや否や跳ね起き、頭を抑えた。
思わず涙目になりつつ目を開けた向こうに見えたものは。
見るからに不機嫌と云わんばかりの視線で己を見つめる金の髪の青年で。


金・・・いろ・・・?


ぼんやり見ていると「漸く起きたか、いくぞ」と
目前のひとは自分の側を離れようとする。


ええと・・・


自分のいる状況が掴めきれず悟空は途惑っていた。
気付けばどう見ても、岩牢の中ではなくて。

コレはまだ夢の続きなんだろうか・・・そう思った時に
ゴツン、という音と同時にまたも感じた痛みに悟空は再度頭を抑えた。



「〜〜〜っっ! いってぇ〜っ! なにすんだよっっ!!」

「目は覚めたか?」

「え?」



顔を上げればすぐ目の前にある顔に驚き、悟空は目を瞠る。
敢えて合わせただろう目の高さが彼が立ち上がることにより見上げる形になった。



「さっさと起きやがれ、飯食ったら出るぞ」



今度は側を離れることはなく
そのままじっと見下ろしている青年の顔を改めて見つめた。
だが動こうとしない己を見てどう思ったのか小さく息を吐く。



「おい」

「な、なに?」

「俺は誰だ?」

「へ?」

「てめぇまさか、昨日あれだけ煩ぇほど呼んどいて
俺が判らねぇなんて云うんじゃないだろうな」



・・・昨日? 昨日って・・・



いつもと同じ、変わらない筈で
目が覚めれば届かない光を見る以外なにもすることがなくて
そのまままた一日が終わって・・・―――そのまま?


ハタと、何かに気付いたように両手を見て
周囲をきょろきょろと見回し、青年に再び視線を戻す。



「・・・え〜と、さんぞ?」

「なんだ」

「え・・・」



途惑う様子を暫く眺めていた三蔵はふい、と踵を返すと扉へと向かう。
その背に視線を感じながらも扉に手をかけ振り返った。



「悟空」

「あ・・・うん」



我に返ったように反応し慌ててベッドから降りた途端に足元を見て立ち止まる。
そして、恐る恐るといったようにその場から一歩を踏み出す。
そんな悟空の一連の動作を三蔵は何も言わずに見ていた。

そして
軽い足取りで側に来るタイミングに合わせたように扉を開けたのだった。










END?






タイトル通りの話です
”出会った翌日”をイメージしてみました、帰途途中。
寺院生活5日目には三蔵既にハリセン使用(笑)
素手では懲りる程に、悟空を殴っていたんでしょうか
(それもどうなんだろう/汗)

過去UP済御礼小話を読んだ方ならご存知でしょうが
ウチの二人の出会いは秋になっております
三蔵の誕生日よりは前ってことで
(年の差5〜6歳希望/笑)

―――でもやっぱり13歳には見えないよ悟空・・・


20050830







SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送